2008年02月18日

バイオ燃料ブームの影


環境意識の高まりを投機に利用させてはならない 

穀物価格の上昇の理由には「原油価格の上昇でコストが上昇した」だけではなく,農産物自体の値上がりも含まれている.

アメリカ大陸の穀倉地帯では,バイオ燃料の原料として市況が強含みのトウモロコシへの作付け転換が進んでおり,それに比べ利益の少ない大豆や小麦などは出荷量が減少しているため,従来の需給バランスが崩れ始めている.

本来生存への重要度がより高い食料を,これに比べれば低い燃料へ転換する行為は本末転倒であり,蛸が自らの足を食べて生存する行為にも似ている.

バイオ燃料は化石燃料に比べて環境への負荷が少ないとされているが,農産物は森林よりも消費する(成育するための)エネルギーが多く,これに加えて輸送や燃料への精製段階で排出される温暖化ガスまで加えれば,決して優れた代替燃料源とは言い切れない.

加えて食料相場の高騰は低所得者の生活を直撃し,国や地域によっては生活苦が政情不安の原因ともなりうる.

バイオ燃料全てを否定するつもりはないが,食料として流通する農産物を燃料に転換する行為には賛成出来ない. 廃木材やこれまで食品製造の過程で排出されていた廃棄物など,食糧用途以外の植物系物質からエネルギーを取り出す事が必要である. 

現在の技術で実現が容易なバイオエタノール車を生産する自動車メーカーや,好況で潤う穀物生産者からの支持や献金を目的に環境政策が決定されてはならない.

大統領選に向けた候補者選びが白熱する合衆国内だが,それに気付いて本当に環境負荷が少なくそして弱者が追い込まれない代替燃料が必要であると主張し,そのための新技術育成(と森林保護と食糧需給の安定)のために行動出来る人物の登場を祈りたい.
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