“走りのDNA”がここにも…
F1,中嶋,ウイリアムズ… この3拍子が揃うとある一定年齢以上の世代には次に“ホンダ”が浮かび,“中嶋”とは日本人初のF1フル参戦ドライバーである悟氏を連想するのではないだろうか.(彼はウイリアムズシャシーを使ったホンダのテストカードライバーで,F1にはホンダがエンジン供給したルノーからデビューしている.)
時間の流れとは恐ろしいもので,彼の息子である中嶋一貴が父の後を追ってモータースポーツ界に身を置き,フォーミュラ1の世界にも手が届きそうだと聞いたのはつい最近の事であるが,まさかこれほど早くレギュラーシートを獲得するとは予想していなかった.
ウイリアムズのテストドライバーであった彼は,今年の最終戦直前に引退を発表したレギュラードライバーのアレクサンダーヴルツに代わるスポット参戦がF1デビューであったが,日本人ドライバーの先輩格でスーパーアグリの佐藤琢磨の12位を凌ぐ10位でチェッカーを受けるという好成績を残しており,サードからセカンドへの昇格というフランクウィリアムズの判断が“親の七光り”ではない事は明らかであろう.
マシン開発技術の進歩や整備されたレギュレーションにより,父悟の時代よりも遥かに充実したレース内容を見せるF1にあって,下位カテゴリー時代が永く34歳でF1にデビューした父に比べ,約10歳も若くしてレギュラーシートを獲得した息子の活躍に期待をしたい.
血筋を最大の理由として政治や中小企業に世襲制が残るのとは異なり,コンマ以下のタイムを競うF1では実力と結果が全てであるのは明らかだが,この世界にも2世ドライバーが多々見られるのもまた事実である.
かつてウイリアムズのドライバーであったネルソンピケやアランプロストの息子達もモータースポーツの世界に身を置いており,ジャックヴィルヌーヴの父もF1ドライバーであった(予選レース中に事故死). またウイリアムズホンダ時代に活躍したケケロズベルグに至っては,その息子であるニコロズベルグが中嶋一貴のチームメイトというのも奇遇である.(つまりロズベルグ家は親子2代のウイリアムズ“世襲”ドライバーである.)
いずれも父の影響で早くからモータースポーツに馴染んでおり,当然ながらその道に進むにも親の理解を得易い(ジャックヴィルヌーヴは父の事故死から母には反対されているが)環境ではある. これを“血統”と呼んでいいのか,それとも環境から培われた後天的素養とするべきなのかは定かではないが(どちらかと言えば後者っぽいが),さる自動車メーカーのコピーでもある“走りのDNA”はもしかしたらやはり存在するのかも知れない.
(残念ながらウイリアムズにエンジンを供給するのは“HONDA DNA”を謳うホンダではなくトヨタだが,ここも一貴をCMに起用して“血統”や“DNA”の言葉を使い始めるのだろうか?)
今年はレギュラーシーズンが終わってもレギュレーション違反やスパイ疑惑などゴタゴタが続いているが,このようにステップアップする新戦力の知らせに接すると,また来期に向けての楽しみが湧いてくる.
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