ここにも現代の“裸の王様”がいる
この国の名はビルマ.
自由を求めて今この瞬間も戦っている人々が主張する国名.
(民主化運動にも僧侶達のデモにも個人的に協力する事は叶わないが,共感の意味を込めて呼称には拘りたい.)
国民の大多数が支持しない現政権の統治は,事実上圧政を敷く恐怖政治と化している.
そして更に恐怖なのはその最高権力者の目指すものが見えていない点にある.
一説によると“オカルト的な思想に基づいて政策を決定する”というその人物は,彼等の主張する首都を“ラングーン”から辺境の森林地帯に移してしまい,軍政の指揮中枢を一般の目から閉ざしてしまっているという.
これはつまり為政者からも一般国民の暮らし向きは把握出来ていない事になり,国内経済やそれを取り巻く世界情勢に対する状態認識や,今後の施策による国家繁栄の青写真を描いているかにも疑問符が付く.
彼等にとって幸いな事に,仮に今回のデモが暴徒化したり更に拡大して国家の中枢機関を占拠したりや指導者達を拘束しようとしても,その殆どが深い森に守られており容易には到達出来ない.
最高権力者に事実が伝わって(伝えられる者が)いないとすればこれは正に現代に生きる裸の王様であり,森の隠遁生活はある意味“世捨て人”ですらある.
イデオロギーが明確でなくかつ意思決定に一定の規範の伴わない,現実逃避型指導者が国を統治している事ほど厄介なものはない.
日本の近所にある“共和国”の将軍様とその側近達と同様に,国民がどうなろうと自分達さえ良ければいいという考えのまま現状が続くのであれば,国力の衰退と相反した更なる恐怖政治の台頭による人心と国土の荒廃が始まり,一方で民主化運動が実を結び政権の座から追われる事になれば,タリバーンのように山に潜む反政府ゲリラ勢力となるのも想像に難くない.
寓話の裸の王様はその真の姿を知る機会に恵まれ改心したが,この国のそれは仏様にさえも手を挙げてしまった.
天に唾する裸の王様の目には自らの行く先の“地獄”は映らないのだろうか?
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