住宅投資に限れば明らかなバブル状態だった
現在世界の投資家達を疑心暗鬼にさせている問題の元凶がここにある.
住宅金融は従来の優良(プライム)客向け融資からその下のサブプライム層へ融資先を拡大し,本来であれば回収リスクが高い借り手であるにも拘らず融資を続けた.
その背景として住宅ニーズの高さから来る高い流動性があり,転売市場が厚いため保有資産価値の上昇が期待された事が挙げられる.
担保を持たない低所得層の住宅購入者が高金利の住宅(モーゲージ)ローンを組んでも,購入した住宅に居住する間にその住宅価格が上昇すれば保有資産も増えるという論理だ.
また既に住宅を所有する層でも借り入れによるリフォーム(リノベーション)で更に高付加価値な住宅として転売益が期待出来たため,ローンを組んでは転売して更に高価な住宅へ移り住む者もいた.
ここには日米の住宅事情の差(日本では土地に対する建物の価値が非常に低く中古家屋目的の住宅転売は稀)があるため,今後日本で同様の現象が起きる事は考えにくいが,これは明らかなバブルであり多くの日本人が既に経験した“必ずいつか誰かがババを掴まされる”一抜けゲームであった.
住宅価格の上昇率がローン金利よりも高ければ借り手にも利益が期待出来るが,人口が爆発的に増加しない限りは住宅ニーズが過熱し続ける事は有り得ず,いつか価格が沈静化した時には返済が滞るのは目に見えていた筈である.
高金利の債務を履行出来ない借り手は破産もしくは家を手放す事となり,その結果差し押さえられた不動産が市場にあふれ住宅市場が更に冷えるというスパイラルが生じる.
これに伴い債権が回収出来ない貸し手側も連鎖的に破産するのだが,ここで低信用層にも貸し出しが可能であった“からくり”が事態を大きくする.
貸し手であるモーゲージローン会社は貸出債権を証券化して転売し,多くの場合資金の運用先を求めていた金融機関(及び機関投資家)がこれを購入して市場で更に小口の投資家へ転売していた. 元を辿ればこの証券を最終的に購入した投資家達がサブプライム層への資金の貸し手であり,資金の最下流である住宅購入者が破綻するとその連鎖として上流の貸し手も回収不能となった.
その後は債権者である金融機関の信用不安を源とするNY株安という既知の現象である.
逆に見ればカネ余りの投資家達が運用先を探し求め,高利回りという金の卵をせっせと産む低所得層というアヒルを見付けて餌を注ぎ込んだたものの,予想以上にアヒルが弱ってしまい卵を産まなくなったという訳だ.
最初の飼主(投資家)から次の飼主へと売り抜ける間にアヒルは弱ってしまい,餌をやっても卵を産まなくなったアヒルを手にした飼主は注ぎ込んだカネを取戻せず,最後に手に残ったのはただの白い卵の殻の破片(価値の下がった不動産の更に出資相当の分配分)であったという結末は多分に寓話的である.
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