2007年08月23日

縛られた金融政策


国内抵抗勢力だけでなく世界の市場に縛られては手も足も出ない 

かねてより超低金利からの脱却を窺っていた福井日銀総裁だが,運悪くサブプライム絡みの株安が足を引っ張り今回もその望みは果たせなかった.

各主要市場の通貨当局は問題が金融不安に拡大する前に利下げによって収束を図った. これを好感した各株式市場は回復基調にあり,利下げが効果を発揮していると判断されている.

利下げ余地のある高金利通貨であれば特に大きな問題でもないが,円に限ってはこれ以上利下げする“糊代”がないため“利上げのギブアップ”による対応しか残されていない.

ドルやユーロなどの主要通貨に対して極端に低い金利は円安の原因ともなっていたが,ここ数日の円高基調から為替面で利上げ見送りを懸念する意見も多くない.

しかし実際の日本経済は“ミニバブル”が進行しており,局地的なバブル状態と景気回復を実感出来ない層の間でギャップが見られる.

本来であれば僅かな利上げによりバブル対策に配慮しつつ回復を安定させる絶妙な政策金融が求められる時期であるが,膨大な借金を抱える政府を始めとする反利上げ派の抵抗で過去数回の政策決定会合でも一歩が踏み出せずにいた.

かつてのいわゆるバブル景気時代も,政策当局が芽を摘む時機を失してバブル拡大を招いた上に,その後は不動産取引の沈静化を目的とした規制で一気に冷や水を浴びせて軟着陸にも失敗し,“バブル崩壊”による反動で最悪の状態を招いてしまったのは多くの人の知るところであろう.

その後も僅かに景気が回復する兆しを見せた途端に財政立て直しを目論んで消費税を3%から5%にした結果,地中から僅かに顔を出した回復の芽を踏みつけて“失われた20年”に突入する事となった.(にも拘らず当時増税を主導した大蔵官僚は何の咎めも受けていない)

金融・財政政策というものは,シナリオを書く官僚や法制化する議員などこれに関わる人々の能力が低いと,国民がその影響をモロに被る重要事項である. 「恒久的に継続する税の削減」と言明した政策を“廃止”するような感覚の持ち主には決して勤まらない.

現日銀総裁は“村上ファンド”絡みで“お手付き”をしてしまったせいか余りウケが良くない(反利上げ派議員が特に騒ぐ)が,これまでのその政策や政府との一定の距離感は評価されていいのではないだろうか.

前FRB議長のグリーンスパン氏はその絶妙な操縦術で米経済を安定飛行に導いたが,残念ながら日本にはそのような名パイロットがいない.

せめて失策の少ない名ショートの現日銀総裁には,もう少し広めの守備範囲を任せてもいいのではないかと思う.
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