今の日本では自転車への“モーダルシフト”は難しい.
環境負荷の低減のために欧米では自転車を見直す国が増えているというが,従来から道路環境や移送・駐輪などの自転車を取り巻く社会インフラが整っていた国では,クルマから自転車へのモーダルシフトは現実的であろう.
しかしインフラ・行政・利用者のモラルのいずれもお粗末な今の日本では,自転車を更に増加させるような施策は対人事故増加の原因となり,実現は難しいと思われる.
元来自転車は軽車両であり車道を走行する事が法規で定められているが,交通量の多い幹線道路に限ってはクルマと自転車の事故を防ぐ目的で歩道を走行してもいいとされている. (歩道を軽車両が走行する交通法規を持つ先進国は意外に少ない)
歩行者専用路である歩道を軽車両が通行するのであるから,歩行を妨げるような自転車は排除されなければならないのだが,実態はどの歩道でも自転車が歩行者を掠めて爆走し,邪魔な歩行者にはベルを浴びせて進路を開けさせようとしている.
自転車は…
・歩道の車道側を(すぐに止まれる速度で)徐行
・歩行者の通行を妨げる恐れのある場合は一時停止(降車を含む)
…を条件(道交法第63条-4 第1,2項)に,指定された歩道のみ走行してもいいとされているが,日常これを遵守する自転車利用者を見掛けるのは稀であり,街頭に立つ警察官が違反を目撃して指導(本来は検挙)している光景も目にしない.
このような環境のままで自転車の通行量が増えれば,現在社会問題化している歩行者対自転車の事故は益々増加し,安心して歩ける歩道はこの国から消え去ってしまう.
では自転車をとことん排除すればいいのかと言えばそうではない.
自転車は車道の原則を徹底的に利用者に叩き込み,交通量の多い車道では路側に自転車専用レーンを設置する事で,歩行者と自転車を完全分離すればいいのだ.
またスーパーマーケットが来店者向け駐車場を整備せず路上駐車を招けば非難されるのと同様に,鉄道駅や商業施設へのアクセスに自転車を利用する者向けにも,駐輪場必要量の調査とその整備を事業者に義務付ける道理も必要であろう.
このようなインフラが整備されれば社会の迷惑になる自転車利用者は減少するであろうし,それでもなお違法行為を続ける者を強制的に排除する根拠ともなる.
交通安全と環境保護の両方の観点から,日本の自転車インフラ(及び法制)整備は待ったなしと言えよう.
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