2007年06月13日

売っている物を買うという事


株式への投資とはそれを発行する企業が持つ可能性への期待である.

貴方がガンダム(別に何でも構わないのだが,好き者が多い商品として便宜的に例えとした)にハマったと想像して欲しい.

ボーナスを手に大人買いしたいのだが,秋葉原に行ってバラ売りで関連商品が並んでいるのを発見し,商品棚に並んでいるのを買い物カゴに片っ端から詰め込んだとする.

するとそこに店員が来て,「お客様,他のお客様もお買いになりますので10点までにして下さい.」と言われたら、貴方はどのように感じるだろうか?

この感じ方によってその人の市場経済への考え方がある程度伺い知れる.

1. 店は商品を店頭で誰でも手に出来るように販売している.
2. メーカーは売るために製品を販売ルートに乗せている.
3. 棚には「人気商品につきお1人様10点まででお願いします.」とは書いてない.

「えっ,売ってる物を好きなだけ買って何でダメなの?」と思う貴方は,極めて健全な市場経済主義者.

「なぁんだ,これにハマっても手に入らないなら他の商品を探そう.」と思う貴方は,機を見るに長けた商才のある人.

一方で,もし貴方が「あ,そうなんですか.すいません.」と応じたなら,モノにハマるのを止めて違う嗜好を模索した方がいい.

株式市場も秋葉の店頭も客に買われても差し支えない商品を並べている訳で,そこに「人気商品につきお1人様10本まででお願いします.」という共通ルールの記載がない限りは,売っているモノは好きなだけ購入して構わない.
それがマーケットに商品を並べる基本ルールだ.

<例1>
知らない内にある商品がブームを巻き起こしていた.
     ↓
それに気付いて店頭に向かったが「もう売り切れです.」と言われた.

よくある話であって,店員が内輪だけで購入してしまったがために欠品している訳ではない以上,貴方は諦めて次の機会を待つしかない.
「ブームになるとは知らなかった.」と店員に詰め寄っても誰も相手にはしない.

<例2>
素質のありそうな馬を見付けた.
     ↓
一口馬主を募って複数の出資者で購入した.
     ↓
大勢でカネを出し合って競争馬を購入するのはズルいと言われた.

 こんな話をまともに相手にする人物は競馬界にはいないだろう.
“勝てば賞金を山分け”という期待で一口馬主に応募するのであって,競馬界をブチこわしたりましてやレースで不正をするために購入したのではない.

<例3>
株式市場にとある企業の株が上場されていて,誰もその価値に気付いていないが貴方はお買い得と判断した.
     ↓
借金してまとまった数を購入したら,その企業から文句を言われた.
「当社の株は多くの方に持って戴く物で,貴方個人で大量にお持ち戴くのは心外です.」

これらの例え話は,投資と市場経済という観点で実際に行われている行為に対し,“こんな事を言われたらどうする?”的展開で並べたものだ.

“ファンド”とか“外資”とか聞くとそれだけで拒否反応を示す人がいるが,実際にこれらは不正な方法で利益を上げているのだろうか?

アメリカでIT関連起業がブームだった頃,大学院生が中途退学をして起業しようとした時にその親が尋ねた.
「折角大学院まで進んだのだから,卒業してから始めてもいいんではないのかね?」

それに対して子供はこう答えた.
「今は誰もこれに気付いていないんです.今始めれば儲かるし,他の人が気付いてからでは遅いんです.」

公開されているデータを基に投資先を見出すのは,競馬新聞を熟読して投票券を購入するのと同じだ,

自社株が買われている事に気付いてから保有条件を変更するのは,鬼ごっこで“鬼”になってから捕まえるルールを変更するに等しい.

“外資系ファンド”の手法を批判するにはそれだけの理論武装が必要だ.
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