現在も象牙取引には規制がかけられているが,全面禁止ではないという.
規制する法自体が“象牙の塔”とならぬよう注視すべきだろう.
象牙は主に装飾に用いられるが,他にもピアノの鍵盤にはその触感や汗の吸湿性から最適とされている.
普及タイプにはメタクリル樹脂製の部材が使われるようになって久しいが,コンサート用などには辛うじて流通(過去のストックなどとして)している象牙が用いられている.
ピアノ製造大手のヤマハでは“ニューアイボリーという”人工象牙を開発して上級モデル(コンサート用を除く)に採用しているが,演奏者の理解が無ければ全てを置き換えるのは難しいかも知れない.
他には日本では印鑑材として象牙が使用されている.
職人から言わせればやはり優れた特徴があっての事だろうが,ピアノとは異なり激しく印鑑を連打する人はいないので,この素材でなければならないという説得力にはやや欠けるものがある.
いずれにしても装飾以外ではごく限られた数量が必要とされていると思われ,多くの象牙が装飾的観点から加工・流通していると考えられる.
人命に関わる問題として象牙の使用が不可欠なのであれば致し方ない部分もあるかも知れないが,これら工芸製品に使用される部材はその使用者の意識次第で他への転換が可能であろう.
加工に従事する側としても,新素材の導入とその普及に協力する事が最終的には保身につながると思われる.
鯨のような人為的な保護の下で象の繁殖が可能にならない限り,象牙の流通の全面停止はやむを得ない流れのようである.
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